暹羅(シァム:タイ國)の基礎知識
シァム(SIAM)
一、位置、地形、産業。
 シァムは半島の中央に位す。其面積、本邦の一倍半に近し。南はシァム灣に臨み、西境にはインドシナ山系の一部高く聳えて、森林深く、其北部は盛にチーク材を出す。中部には メナム(Menam)川流れて、其下流の平野には米の産甚だ多し。又、國内には象多く、此國の闕くペからざる家畜となり、國章にも用ひらるゝに至る。外國貿易は年を逐うて發達し、主として、米・胡椒・蕉糖・チーク材等を輸出し、本邦よりは外商の手を經て、マッチの輸入せらるゝもの少からず。
クコンバ
ニ、住民、政治。
 住民はシァム人の外に支那人、マライ人、ラオス人多く、支那人は懶惰なる土人に代りて農業・商業を營むもの少からず。佛教盛に行はれ、寺院の壯麗なるものあり。
 此の國は獨立の專制王國にして、軍備は未だ振はざれど、財政は裕なり。近時、頻に先進諸國の文明を輸入し、之がために、本邦人の招聘せらるゝものあり。首府バンコク(Bangkok)はメナム川の下流に臨み、政治・商業の中心をなす。
バンコクには我が公使館と領事館とあり。
山崎直方著 文部省檢定濟『外國地誌 上卷』(東京 開成館藏版 明治40年2月21日訂正四版)より。
現代は、温故知新の精神が大切ですね。